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Alive



…――眠れない…嫌な夢を見て目が覚めた…。
午前5時。東の空がうっすらと明るくなり、鳥たちのさえずりが聞こえてくる。

布団をかぶったまま天井を仰ぐ。
最近、いつも同じ夢を見る。

どこかの馬鹿が…あの馬鹿が私の目の前で冷たくなっていく夢…―――。
そんなことがあるわけない、そんなこと私が絶対に許さない。
…けれど、今まで何度となくそうなる危険はあった。
普段はあまり気にしないけれど、いつも死と背中合わせの生活。
いつか、私の手の届かないところで…―――――。

泣きはらした目に朝日が差し込む。
ベッドから出て鏡に映る自分の顔を見る。
二重のまぶたが目がはれて一重になっていた。

「…ひどい顔…。」

けど、あの馬鹿に会いたい…たった1週間、会ってないだけなのにこんなに思いが
募ってる…1週間、離れているだけなのにこんなに不安でしょうがない。
早く会いに来て…あのひとなつっこい笑顔を見せてよ……馬鹿…。

切なくて不安でやりきれない。

気を紛らわせるために六本木の斎伽忍のマンションへ向かった。
扉を開けるとできればあまり会いたくない相手の靴があった。

キッチンに行くとやっぱり十九郎がいた。
「あ、おはよう。」
まるで悪気のないあいさつをして、そこにいるのがさも当然のようだった。
「…おはよう…。」

いつもなら、ここで十九郎を追い出すところだが今日はそんな気分じゃない。
とにかく、この泣きはらした目を見られたくない、それだけだった。
しばらく、お互い何も言葉を交わさず、冴子はうつむいていた。

沈黙を先に破ったのは十九郎だった。
「水沢も男だね。冴子さんを泣かすとは…。」
そう言いながら、十九郎が冷蔵庫からケーキの箱を取り出し、にっこり笑って、冴子のほうへと差し出した。
「…ショートケーキ。落ち込んだとき、甘いものっていいんだよ。じゃぁ、俺は帰るから。」
そう言って、あっさりキッチンから退出していった。

……気が利きすぎるのも時としてうれしくない…けど、十九郎君に悪気はないのよね…。
そもそも今回の原因はどっかのどうしようもない馬鹿のせいだ…そう…この私を泣かしてるのはあんたなんだから…。

諒専用のティーカップを出して紅茶を入れ、カップの口にそっと唇を押し当てた…。

帰ってきたらうんと困らせてやる……早く帰ってきなさいよ!!
「………馬鹿…。」




END

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