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Trans Trap 



「その様子だと、水沢とは連絡とってないのかな?…冴子さん、会いたくてしょうがないって顔してるよ。」
いきなり面会に来たかと思えば、第一声がこれ。
…やっぱり、厄介な人…。
けれど、今日はいつもどおりの彼を見て安堵する。
伽羅王である斎伽忍に謹慎を命じられて一週間がたった頃だった。
「…ここに居て、どうやって連絡しろっていうのよ?下手に連絡とって、本家のご機嫌を逆撫でしたら元も子もないじゃない。」
「四六時中、監視をされてるわけでもなさそうだし、電話をかけるくらいの自由は、許されているんじゃないの?」
「…あっちからかけてこない限り、私からは連絡のしようがないのよ!あの馬鹿っ連絡先言ってこないんだから!!ホントに馬鹿よねっ!…っそれに…例えあの馬鹿が電話をかけてきたって、とりついでもらえないわ。」


鳴らない電話をどれほど待っただろう…。
外の世界と隔離されたこの世界で。
唯一、彼と自分をつなぐ電話をずっと、ずっと待ちつづけた。


「…まさにロミオとジュリエットだね…と言うよりはローズとジャックか…。禁断の恋ってヤツかな。」
「禁断だなんて誰が決めたの?いいじゃない。禁断だって。そっちの方が、燃えるわ。」
まっすぐ前を見据えた冴子が微笑んだ。
「けど、…洒落にならないわね…諒ちゃんがジャックだって言う説は。あの馬鹿なら、勝手に1人で海に沈みかねないわよ。」
「男なら、誰でもそうしたいんじゃないかな。」
「そんなのこっちからしたら、ありがた迷惑よ。もし、あの馬鹿がそんなことしたら強引にでもなんでも、引っ張りあげてやるんだから…。」
「…たくましいね。」
そういう十九郎の顔は苦笑していた。
「悪かったわね…。」
「俺は冴子さんのそういうところ、好きだけどね。」
「…口説いてるの?」
「まさか、水沢や忍さんに張り合う気はないよ。」
「何言ってんだか…。」
十九郎の言葉を受けて、冴子は、呆れたような、照れ隠しとも取れる微妙な笑顔を見せた。


(水沢は幸せ者だな…。)


その笑顔を見た十九郎は漠然と思った。
「あぁ、そうだ…忍さんからの伝言。謹慎を解くってさ。それから、これはうちの母君から。広島行きの切符。この前、水沢が頑張ってたからって。手筈は母君がとってあるそうだよ。冴子さんが迎えに行って来るように、だってさ。」
「えっ…?」
「会いたくないの?ジャックに。」
戸惑う冴子を見て、くすっと笑いながら切符を差し出した。
「…十九郎くんって本当に良い性格してるわよね!」
ムッとしながら、切符を受け取った。
「今のは褒め言葉として受け取っていいのかな?」
「えぇ!どうぞ、好きなように解釈してくださって結構よ!!」
そう吐き捨てると十九郎と目が合い、お互いに笑ってしまった。
「夏江さんによろしく伝えて。感謝しますって。」
「うん。」
「それと、ありがとう。十九郎くん…。」
「いいえ、どういたしまして。それじゃ。」




END

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