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風の向くまま




足元にカツンと転がる緑の石。



―――…おやすみなさい…。


       心の中で、静かに呟いた。



「さぁってと。レッツゴートゥホームと参りますか!」


いつからか、消えゆく者たちを慈しむようになった。
自分の仕事に疑問を抱き、嫌悪感に苛まれる事も無くなった。


――風向きが変わった。
凍てつくような向かい風から、暖かい追い風に。


脳裏に浮かぶ長い長い道。
昔はそこにヒトリ立ち尽くしてた。
雨ニモマケテ 風ニモマケタ。
ある時、嵐が来てすべてを奪っていった。
けれど、その後、大切なモノを手に入れた。


友達と呼べる人たち…――。


「あ〜もしもし?冴子さん?今、終わった。」
「今日中にはそっちに帰りま〜す…って、え?なに?みんなで集まってんの!?」
「…うわっ…どうして、俺を仲間ハズレにするかな…。」
「わかった、わかりましたよ〜ダッシュでそちらへ向かいます〜。」
「うん…2時間くらいはかかるかな。俺が行くまで、帰んないでよ?」
「ほいじゃ、またあとで。」
…ったく、なんで俺がいないときにみんなで集まるかな。
ぜぇぇえったい謀られてる!
そんなコトを思いながら、プツリと切った携帯電話を恨めしげに睨んだ。
「こうしちゃおられん。」
横に倒してあったママチャリを慌てて起き上がらせて、一週間通った校舎を一瞥した。
「そんじゃ、急ぎますかっ!マッハGOGO号〜!!」
自転車に跨って、ペダルを漕ぎ出す。
夕涼みの中、初夏の風を切ってがむしゃらに走った。


先に続く長い道も、戦隊モノのオープニングみたいに仲間と並んで歩いていける。
そんな感じ。
たくさんの「好き」がある限り、人は優しくなれる。
今日も明日も明後日も…地球上のすべてのものに優しく在りたい。
石になって消えゆく者たちにも…。


――風向きが変わった。
凍てつくような向かい風から、暖かい追い風に。






END

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