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君にしか聞こえない 


そこに少しでも隙間はあるのかなぁ。




2人の間に入り込む術を探して今日もまた、用も無いのに”雇用主”の部屋に入り浸る。だらしなくソファに沈み込んで、チェスに夢中な仲睦まじい兄妹を胡散臭そうに眺めてみた。

彼の声は彼女にしか聞こえないだろう。
自分に聞こえるのは憶測と未来への願いだけ。
そりゃそうだ。年季と思い入れの深さが違う。
そこには2人で乗り越えてきたいろいろなものがあるだろう。

休戦中のまま、戦いなんて終わっちゃえばいいのに。
戦ってた事なんて、敵も味方もみーんな忘れちゃえばいいんだ。
こんなに穏やかな日常があるのに。
ソファに沈み込んだまま足を投げ出して、小さくため息を吐いた。

「諒。・・・かまって欲しいのかい?」

そのあやす様な言い方に、がっくりと肩を落とした。

「あのですねぇ・・・小学生の子供じゃないんだから」

「何が違うんだい?」

チェス盤を前に楽しげな忍に、脱力した表情を見せて降参ポーズをとった。
こいつとの言い争いは無駄だ。
ちらりと冴子を見る。真剣な眼差しでチェス盤を睨む顔。
そんな顔も可愛い・・・なんて。本人には口が裂けても言わないけど。
その大きな瞳で突然振り返るから、一瞬ドキリとした。


「仲間に入れてあげてもいいわよ?」

その珍しいお誘いの言葉に、冴子の顔をまじまじと見返して
すぐに、あぁそうか、と思い直した。
・・・次の手に困ったらしい。
やっぱりね。ちょっとでも期待した俺が馬鹿でした。・・・ガクリ。

 

――2人まとめて。
その想いもぜーんぶまとめて、幸せにしたいなぁ。

 

END

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